Circular78/2014/TT-BTC(27):税優遇の対象事業の相殺方法について

  法人所得税

税優遇の対象事業の相殺方法について

 

コード 78/2014/TT-BTC(27)
発行日/施行日 2014年6月18日 / 2014年1月1日
分野 法人所得税
法定分類 Circular
管轄機関 財務省

 内容

2014年6月18日に財務省はCircular 78/2014/TT-BTC(以下Circular78)を公布しています。Circular 78は2014年1月1日に遡って適用されます。   

税優遇の対象となる事業を他の事業と相殺する場合には、以下の方法が認められています。

 同じ事業年度において、税優遇を享受する事業が損失で、税優遇を享受できない事業(*)が利益の場合(その逆もしかり)、企業は利益が発生している事業から損失を相殺することができます。相殺後の課税所得は利益が発生している活動に適用される税率が使われます(Circular78-18条9項)。

 企業は過年度からの繰越欠損金を抱えている場合(繰越期間が有効期限内のもの)、その繰越欠損金と利益が発生している活動からの利益を相殺することができます。企業が繰越欠損金を事業別に区分できない場合、税優遇を享受する事業活動からの利益とその損失を相殺し、さらに相殺後に残る損失があれば、税優遇を享受できない事業活動の利益(*)と相殺できます(Circular78-18条9項)。

(*)  不動産の譲渡所得、投資プロジェクトの譲渡所得、投資プロジェクト参加権の譲渡所得、鉱物の探査・試掘・生産権の事業所得を除く

以下の設例にて理解を深めて下さい。

~設例①~

2014年の事業年度にて、企業Aは以下の取引を行った。

  • 税優遇を享受するソフトウエア製造からの損失:10億ドン
  • 税優遇が享受できないコンピュータ販売から利益:10億ドン
  • 有価証券の譲渡(事業活動の一つとして)からの利益:20億ドン

企業Aはソフトウエア製造からの損失をコンピュータ販売の利益から相殺するか、もしくは有価証券譲渡の利益から相殺するか選択することができる。相殺後の利益は利益が発生している事業活動に適用される税率を使って法人所得税が算出される。

例えば、ソフトウエア製造からの損失10億ドンをコンピュータ販売または有価証券の譲渡の10億ドンと相殺した場合には、その相殺後の利益20億ドンは税率22%で算出された法人所得税(20億ドンx22%=4.4億ドン)を納付する必要がある。

 

~設例②~

2014年の事業年度にて、企業Bは以下の取引を行った。

  • ソフトウエア製造からの利益(税優遇の対象:20%):20億ドン
  • コンピュータの販売からの利益(税優遇の対象外):20億ドン
  • 有価証券の譲渡からの損失(事業活動の一つとして):10億ドン
  • 2013年の事業年度において、企業Bはコンピュータの販売事業から10億ドンの損失が発生しており、2014年度の課税所得を計算するためにその損失を繰り越している。

この場合、以下の相殺を行うことになる。

  • 有価証券譲渡の損失をコンピュータ販売の利益と相殺する場合、その相殺後の利益は10億ドン(20億ドン-10億ドン)である。
  • 2013年度からのコンピュータ販売からの繰越欠損金を2014年度の同事業の利益と相殺する場合、その相殺後の所得はゼロ(10億ドンー10億ドン)である。
  • ソフトウエア製造からの利益に対して法人所得税を計算して申告納付する。申告納付額は、2億ドン(20億ドンx10%)である。
  • 最終的な納付税額は2億ドンとなる。

~設例③~

2014年の事業年度において、企業Cは以下の取引を行った。

  • 有価証券の譲渡からの損失(事業活動として):10億ドン
  • コンピュータの販売からの利益(税優遇の対象外):20億ドン
  • ソフトウエア製造からの利益(優遇税率20%の対象):20億ドン
  • 2013年の事業年度において、企業Cは20億ドンの損失があったが、その損失を生じさせた活動を特定することが出来なかった。結果として、企業Cは最初にすべての損失を優遇税制の対象となる事業(ソフトウエア販売)からの利益と相殺しなければならない。

この場合、以下の相殺を行うことになる。

  • 有価証券譲渡の損失をコンピュータ販売の利益と相殺する場合、その相殺後の利益は10億ドン(20億ドン-10億ドン)である。
  • 2013年度からのコンピュータ販売からの繰越欠損金を2014年度のソフトウエア製造の利益と相殺する場合、その相殺後の所得はゼロ(20億ドンー20億ドン)である。
  • 税優遇を享受できない事業(コンピュータ販売)に対して適用される税率22%を使って法人所得税を申告納付する。申告納付額は、2.2億ドン(10億ドンx22%)である。

 


              以上

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